皆様こんにちは。
NPO法人ソシオの杜です。
今回は、趣向を変えて、CCRCについてお話したいと思います。
そもそもCCRCって何?という方がほとんどだと思います。
CCRCとは Continuing Care Retirement Community の略で、
日本語で直訳すると「継続的なケア付きの高齢者たちの共同体」と言います。
もう少し噛み砕くと、「高齢者が健康なうちに入居し、終身で過ごすことが可能な生活
共同体」といった感じになります。
もともと、1970年代のアメリカで生まれた考え方で、高齢者が元気なうちから、コミュ
ニティを作って、お互いに助け合うことを目的としています。
「安全な住まい」と「医療・介護といったサービスの提供(サポート)」が約束
されており、アメリカでは急激に増加していきました。
このアメリカの考え方を基に日本版のCCRC計画が近年進められています。
日本版の大きな特徴としては、アメリカでは主に富裕層を対象としているのに対し、
標準的な厚生年金受給世帯でも生活できる水準を想定していることです。
※もちろん施設によってコンセプトが異なるため費用負担も様々です・・・
日本でも徐々にCCRC的な考えが広まってきており、全国で複数のCCRC事業が運営され
ています。
少子高齢化がますます進行していく日本では、「高齢者の住まい」の問題は、誰にとっ
ても身近な話題かと思います。
皆様にCCRCという新しい生活の形について知っていただきたく、日本版のCCRC事業に
ついて情報発信をさせていただきたいと思います。
目次
【1】日本版CCRC構想について
【2】CCRCと老人ホーム・介護施設との違い
【3】まとめ
【1】日本版CCRC構想について
2015年に日本版CCRC構想に関する有識者会議が開催されました。
そこで示された基本的な考え方は以下のとおりです。
⽇本版CCRC構想は「東京圏をはじめとする地域の⾼齢者が、希望に応じ地⽅や「まち
なか」に移り住み、多世代と交流しながら健康でアクティブな⽣活を送り、必要な医
療・介護を受けることができるような地域づくり」を⽬指すものです。
この構想の意義としては、
①⾼齢者の希望の実現
②地⽅へのひとの流れの推進
③東京圏の⾼齢化問題への対応
の3つの点があげられます。
このような考えを基本にして、複数の事業者によって全国各地で特色のあるCCRC事業
が計画、運営されています。
【2】CCRCと老人ホーム・介護施設との違い
CCRCと老人ホーム・介護施設には、似ているようで多くの違いがあります。
下の表をご覧いただけるとわかりますが、《入居時の健康状態》や《居住者の位置づ
け》の違いが特徴的です。
従来型の高齢者住宅(老人ホームなど)では、入居者は医療や介護の手当が必要な方
が多く、「支えられる人」として扱われます。
一方、日本版CCRCでは、入居者は「健康なうちに」コニュニティーに参加します。
したがって入居者はお互いに支えあう(共助する)関係となります。
費用や設備など様々な違いもありますが、このお互いに「支えあう」ことがCCRCの
一番の特徴であり素晴らし点だと考えています。
【表1 日本版CCRCと従来の高齢者住宅との比較】
従来型の高齢者住宅 | 日本版CCRC | |
入居時の健康状態 | 具合が悪くなってから | 健康なうちに |
入居動機 | 不安だから | 楽しみたいから、役立ちたいから |
事業収益視点 | 介護保険に依存 | 介護保険に依存しない |
地域接点 | 地域との接点無し | 地域に開かれたコミュニティ |
世代視点 | 高齢者だけのコミュニティ | 多世代共創型コミュニティ |
建物 | 新規に建築 | 可能な限りストックを活用 |
居住者の位置づけ | 支えられる人 | 担い手、共助する人 |
居住者の自治組織 | 無し | 有り |
出典:三菱総合研究所 プラチナ社会研究会 HP「地方創生のエンジン「日本版 CCRC」の可能性」
【3】まとめ
現在、福岡県内で、九州発のCCRCプロジェクトが進んでいます。プロジェクトの中心
となられている方は関東や東北など他の地域での実績をお持ちの方で、その経験を活か
し今回の事業を進めています。
私事ですが、このプロジェクトの計画段階に参画させていただくご縁がありました。
その後の進捗については、直接的には携わっておりませんが着々と進んでいると伺って
おります。
先方の許可をいただけるようでしたら、当ブログでも続報をお伝えできればと考えて
おります。
CCRCの仕組み・考え方は、高齢化が進行が避けられない日本において、有効な施策の
一つであり、ますますニーズが高まっていくものと思われます。
私たちの活動とも親和性が高く、色々な形で連携できるのではないかと考えています。
しかしながら、まだまだ馴染みのない言葉だと思いますので、引き続き、情報発信を
しきたいと考えています。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。